お勧め アメコミ ⑧ Motor Crush、Lake of Fire
ご無沙汰しています、フィリップです。 先日、東京コミコンに行ってきました。事前の情報公開があまりなく、心配していましたが、楽しいイベントでコミコンらしい雰囲気でした。 そこで、出店していたバブス・ター先生に今秋発売予定の新作Motor Crushを見せていただきました。 日本では12/7の夜からデジタル(コミクソロジー)、14日からブリスターコミックスなどの実店舗で販売スタートだと思います。 というわけで、当ブログ初となる発売前のレビューを上げさせていただきます! ⑫ Motor Crush 原作:Brenden Fletcher/Cameron Stewart/Babs Tarr 作画: Cameron Stewart/Babs Tarr 出版: Image Comics 伝説のバイクレーサーサリバン・スィフトの娘ドミノは父の後を追ってプロのサーキットに出場し、スターへの階段を登り始めている。だが、彼女はエンジンの性能を引き上げる薬Crushを求め、違法のストリートレースにも手を出してしまっていた。部屋に隠してあったCrushを奪われたドミノはギャングとストリートレースを主催する闇の組織に挑む! バットガールを手掛け一躍有名となった作者チームですが、クリエイターオーンド(作者が全ての権利を持つ)の新作はヒーロ物ではなくスポーツアクション物。ターさんは「セーラームーン暴走族」の絵で注目を浴びアメコミに関わるようになりましたが、彼女のテイストに合わせて作られた物語ではないかと推測できますね。ご自身でカラーまでつけているので、ピンクとパープル多めのパステル系な色が目立つポップな世界観を繰り出しています。バットガールと同様に、スチュアートさんがレイアウトをしているようで、レースシーンがダイナミックで爽快感溢れています。第1話はストリートレースのみなので、正規レースがどんな演出になるのかが気になります。なお、登場人物のダイバーシティ、ナレーションと正規レース関連のシーンで度々登場するsns感などで時事ネタに対するコメンタリーも伝わってきます。勝手に追ってインタービューしてくるドローン型カメラとのやりとりが面白い。 世界観が明るくてポップな反面、非正規ストリートレースなどに纏わる闇の部分が意外とダークなことに驚きました。タイトルにも入っているCrushはレーサーではなく、バイクのエンジンが摂取するドラッグのようなもので、冒頭に過重摂取で事故死したレーサーが登場したりもします。ドミノがCrushに染まったレーサーの世界でどう生き抜いていくかが見所になりそうです。 バットガール・オブ・バーンサイドのファンには安心してオススメできる作品です。また、バイクレースをはじめとするエクストリームスポーツのファンも要注目。人間と機械とドラッグの複雑な関係(とロードレースの描写)からアキラの影響も感じさせるので、これからの発展が楽しみです。 Motor Crush #1は12月7日イメージコミックスから発売予定です。日本ではcomixologyなら即日、ブリスターコミックスなどの実店舗では次週から手にはいると思います。 ⑬ Lake of Fire 原作:Nathan Fairbairn 作画: Matt Wilson カラー:Nathan Fairbairn 出版: Image Comics 12世紀のフランスに突然現れた怪物が次々と村を遅い、子供や女性を拐っていきはじめた。その噂を聞きつけたモントフォード卿は、山賊の仕業だろうと思いながらも、若い騎士(の卵)のヒューとテオと目付け役のヘンリー伯爵、ベテラン十字軍戦士のレイモンド、そして宗教裁判官のアルノードを調査に派遣。なぜなら、彼らは全員、進行中の包囲攻撃に邪魔だからだ。 しかし、彼らが村に到着し目にする「悪魔」の実態は誰にも想像できなかった… 十字軍戦士対エイリアン!とだけ書いておくと買う人は買いそうですね。世間知らずの坊ちゃん騎士、長く続く十字軍遠征で幻滅を感じたベテラン戦士、何を見ても神への冒とくを見つけようとする宗教裁判官、そして異教徒の少女のやり取りが大変面白い。そして戦う相手がエイリアンというとんでも設定もまたたまらない。ただ、全5話の内4話まで発売された時点でエイリアンのテクノロジーとの接触などがあまりなく、悪魔でもよかったのでは?と思ってしまいますが、面白いには変わりありません。13世紀の宗教的概念で理解不能の事態と対面する人の困惑も見どころです。 ライターのフェアベアンさんは今までカラーしか手掛けたことがありません。スコット・ピルグリムでアシスタントとカラーをやったり、DCのMultiversityなどでカラーの仕事をしたりしながら、自分の作品を発表できるチャンスを待っていたそうです。ウィルソンさんは「子供向けのゲーム・オブ・スローンズ」と称賛された「Barbarian Lord」で注目を集め活躍中。村人の絶望と容赦のない戦いでグロでもありますが、アートとカラーが比較的明るいタッチのおかげで読みやすいです。感覚的にはジェフ・スミス作のBONEに近いと感じました。 4月のImage Expoで発表され注目していたのに、第4話まで発売に気がつかなく一気に読みました。発表当時に感じた通り、素晴らしい出来です。ヘルボーイユニバース(特に初期のBPRD作品)やBONEが好きな方、中世ファンタジーが好きな方におススメです! Lake of Fireは1~4話が発売済み、最終話となる♯5は12/21発売予定です。TPBは2月発売の予定だそうです。まだプレオーダー可能なので、気になった方はぜひ!